目を合わせると頭が震える視線恐怖の女性が心理療法で楽になった体験談

中学1年から視線恐怖に悩み、目を合わせると頭が震える症状や幻聴に苦しんでいた20代のH.Iさん。一人での外出も難しく、自己流のケアでは効果が出ない中、専門のカウンセリングを決意します。1回目のセッションで幼少期のトラウマを解消したことで、人と接する緊張感が大幅に低下。全10回の心理セラピーを通じて、9点あった緊張が半分以下になり、友人と落ち着いて話せるようになるまでの回復の軌跡をご紹介します。
掲載の許可をいただいています。

目を合わせるだけで頭が震えて緊張していた

外出ができない女性

私は人と接するときに目を合わせることができませんでした。
目を合わせるだけで頭が震えて緊張していました。
視線恐怖、対人恐怖みたいな感じでした。

幻聴もあって、病院では統合失調症と言われていました。
「殺してやる」「殺してくれ」「死にたい」「おうちに帰りたい」「俺は男だ」という声が聞こえていました。
いろんな人の声が聞こえて苦しかったです。

これまでフォーカシングの本を買って、自分で取り組んでみたことがあります。
残念ながら効果を感じることができませんでした。

視線恐怖は中学1年生の頃から始まりました。

視線恐怖があるため、仕事がなかなかできないです。
外出するのも一人では難しいです。
恋愛や結婚もできないでいます。

トラウマを解消するセラピーが印象的

外の明るい世界に行っている女の子

これまで10回のカウンセリングを受けたのですが、印象的だったのは1回目のセッションです。
小学校の頃に同級生を泣かせて、担任の先生から叱られていた、という私にとってはトラウマのような記憶があります。
そのトラウマを解消するセラピーをしてもらったのですが、そのときのことが印象的です。

そのセラピーの後、人と接するときの緊張感がすごく下がりました。

また、私のイメージの中の世界で、暗いところでうずくまって座っている女の子がいました。
その女の子を外の明るい世界に連れ出すイメージ療法をしてもらったときのこともよく覚えています。

その直後に気分がスッキリしてすがすがしい気持ちで帰ることができました。

視線恐怖がかなり減った!

カフェで会話している女性

現在は私のイメージの世界の人達の姿が見えにくくなって、声も今までとは違って自分自身の心の声のように聞こえます。自分自身の感情として感じるようになりました。

また、友人が性被害に遭ったことがあり、そのことが私の中でとても辛い記憶になっていました。それは涙が止まらない出来事でした。
この記憶についてもトラウマを解消するセラピーをしてもらったのですが、思い出すことがほとんどなくなり、たまに思い出しても心が乱れなくなりました。

10回のカウンセリングが終わって、今では視線恐怖がかなり減りました。
以前は人と接しているときはものすごく緊張していたのですが、今では落ち着いて話すことができるようになりました。
以前は緊張が10点満点で9点ぐらいあったのですが、今は4点か5点ぐらいです。

おかげで、友人と会うのが苦にならなくなりました。

私は今まで苦しさを一人で抱えていました。
治したいのだけど治せませんでした。

それが勇気を出して「カウンセリングを受けよう」と決意して、そして実際に受けてみて、本当に良かったなと思います。

もしも私と同じように苦しんでいる人がいるなら、カウンセリングを受けることを勧めたいです。

(20代 女性 H.Iさん)

心理カウンセラーからコメント

心理カウンセラー

H.Iさん、中学1年生という多感な時期から始まった視線恐怖、そして「目を合わせるだけで頭が震える」という非常に苦しいお身体の症状を抱えながら、10回のカウンセリングをやり遂げ、ご友人と落ち着いて話せるようになられたことを大変うれしく思います。

心理療法家の視点から、H.Iさんの身に起きていたことと、今回のセッションでなぜ大きな変化が生まれたのかを解説します。

トラウマの解消と「身体症状(頭の震え)」の緩和

精神医学の権威であるVan der Kolk, B. A., Pelcovitz, D., Roth, S., Mandel, F. S., McFarlane, A. C., & Herman, J. L. (1996)らは、未処理のトラウマを抱えた人は、言葉で記憶を思い出すだけでなく、自律神経系が暴走して激しい身体症状(Somatization:身体化)を起こしやすいことを証明しました。

H.Iさんが「人と目を合わせるだけで頭が震えていた」のは、脳が過去の叱責トラウマの防衛として身体を過緊張させていた状態です。1回目のセッションでトラウマを解消した直後に緊張感が激減したプロセスは、この論文の言う「身体に刻まれたトラウマの解放」そのものと考えます。

「声」が「自分自身の心の声」へと統合されたメカニズム

Longden, E., Madill, A., & Waterman, M. G. (2012)は、人はあまりに過酷な体験をしたとき、心はその衝撃から身を守るために、耐えきれない感情(怒り、恐怖、無力感など)を自分の意識から切り離し(解離)、切り離されて行き場を失った「自分の一部(パーツ)」が、あたかも外部から語りかけてくる他人の「声」という形をとって意識の表面に現れているものが幻聴の正体である、と説明しています。

H.Iさんがイメージ療法で「うずくまる女の子(傷ついた自己)」を助け出し、トラウマを処理したことで、バラバラだったパーツが本来の自分に統合(Integration)され、その結果、声の主が消え去るか、あるいは「自分自身の心の声(感情)」として感じられるようになったと考えます。

参考・出典URL

Van der Kolk, B. A., Pelcovitz, D., Roth, S., Mandel, F. S., McFarlane, A. C., & Herman, J. L. (1996). Dissociation, somatization, and affect dysregulation: The complexity of adaptation to trauma. The American Journal of Psychiatry, 153(7 Suppl), 83–93.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8659645/

Longden, E., Madill, A., & Waterman, M. G. (2012). Dissociation, trauma, and hearing voices: A cognitive-developmental approach. Schizophrenia Bulletin, 38(1), 28–33.

この記事を書いた人

心理カウンセラー 田中耕一郎
公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。

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