認知行動療法でうつ病(自動思考)を改善できた体験談

薬物療法を5年続けても消えないうつ病の波……。独学の認知行動療法に挫折したS.Jさんが、熊本カウンセリングでの認知行動療法に取り組みました。それは「自分を丸ごと変えずに楽になる方法」でした。カードを使った対話と思考の可視化により、自分の過去と将来を否定的にとらえる「自動思考」が劇的に改善。絶望から前向きな一歩を踏み出すまでの軌跡は、今、暗闇の中にいる方の希望になるはずです。専門的な視点を交えて、その回復のプロセスを詳しくご紹介します。体験談掲載の許可をいただいています。

5年間のうつ病…。薬物療法を続けてきた

仕事の多忙さと人間関係の軋轢からうつ病になり、約5年間精神科のクリニックで薬物治療を受けています。ある程度の効果はありましたが、病状に波があり、入院も経験しました。

鬱病の本で認知行動療法がうつ病の治療に効果的だということが医学的に認められていることをを知り、自分で本を読みながら取り組もうとしましたが、長続きしませんでした。それに、本を読んだだけでは、認知行動療法の意味を正確に理解出来ず、漠然と今までの自分を変えなくてはいけないなんてイヤだなと感じていました。

認知行動療法を受けてみた

そんなある日、インターネットで検索して見つけた田中先生のカウンセリングを受けてみることにしました。

田中先生のところでは、認知行動療法を専用のカードを使って、対話形式で行っていきます。ひとつひとつ項目ごとに丁寧に行っていきます。とてもわかりやすく、自分の考え方のうち、ちょっと合理的でない部分や、ストレスをためやすい信念のようなものが根付いていることを、素直に受け入れることが出来ました。

自動思考が大幅に改善できた

定期的に認知行動療法のための診断チェックをしていただいているのですが、先日、思考の経過をグラフ化していただいたところ、「自動思考」が大分改善されており、自分でも驚きました。自動思考とは、例えば自分が何かひとつ失敗してしまった時にもう自分なんてダメな人間なんだなどと極端に考えてしまったりする不合理な考え方のことです。

これから自分が生きていく上で、認知行動療法によって自分の中にある歪んだ不合理な考え方を変えて、少しでも生きやすくなればいいなと思っています。田中先生のカウンセリングを通じて、認知行動療法とは、自分を丸ごと変える必要はないんだということも理解出来たので、今、納得して前向きに取り組んでいます。

今、先生に出会うことが出来たことが、何より良かったと思っています。先生のカウンセリングを受けていると、心が楽になっていくのを実感します。田中先生の親しみやすさ、優しさに加え、自分のために一生懸命取り組んでいただいている姿に、本当に感謝しています。

これからも、田中先生のカウンセリングのもと、うつ病の完治に向け、前向きに取り組んでいこうと思っています。

(40代男性 S.Jさん)

心理カウンセラーからコメント

心理カウンセラー

S.J.さん、貴重な体験談を共有してくださり、本当にありがとうございます。まずは、5年間という長い年月、うつ病という非常に苦しい病と向き合い、今日まで歩んでこられたご自身を、どうか最大限に労ってあげてください。

入院を経験されるほどの重い症状の中で、ご自身で本を手に取り、なんとか現状を変えようと模索されてきたその姿勢に、心理カウンセラーとして心からの敬意を表します。うつ病の渦中にあるとき、活字を追い、新しい手法に取り組むことは、想像を絶するエネルギーを必要とするからです。

S.J.さんが体験されたプロセスには、心理療法の観点から見て、回復へと向かうための非常に重要なエッセンスがいくつも含まれています。専門的な見地から、いくつかコメントをさせていただきます。

思考の外在化

まず、本を読んでの認知行動療法(CBT)が長続きせず、抵抗感があったという点についてです。これはS.J.さんの意志が弱いわけではありません。認知行動療法は「自分の考え方の癖」を扱うため、一人で行うと、どうしても「今の自分を否定されている」ような感覚に陥りやすいのです。

特にうつ状態にあるときは、思考が「全か無か」という極端な方向に振れやすいため、「自分を変えなくてはいけない」という言葉が、まるで「今のままの自分ではダメだ」という宣告のように聞こえてしまいます。心理カウンセラーとの対話、そして「専用カード」という具体的なツールを用いたことで、思考を「自分自身」から切り離し、客観的に眺める「外在化」がスムーズに行われたのでしょう。
これにより、不合理な信念も「自分を苦しめている単なるパーツ」として、素直に受け入れられるようになったのだと考えられます。

「主観的な感情」と「客観的な事実」を切り分ける

うつ病の回復期には「波」があり、調子が悪い日には「結局、何も変わっていない」という絶望感に襲われがちです。
しかし、視覚化されたグラフという形で客観的なデータとして自分の変化を突きつけられることで、「自分の主観的な感情(ダメだという感覚)」と「客観的な事実(改善しているという事実)」を切り分けることができたのでしょう。
これが治療意欲を高めるのです。

自分を丸ごと変える必要はない

S.J.さんが辿り着かれた「自分を丸ごと変える必要はない」という気づき。これこそが、カウンセリングにおける最も大きなブレイクスルー(突破口)です。

認知行動療法は、あなたの性格を矯正するものでも、別人にするものでもありません。例えるなら、自分に合っていない「古いOS」のバグを修正したり、新しいアプリケーションを追加したりするような作業に過ぎません。本体であるS.J.さんの「心」そのものは、元々そのままで価値があり、素晴らしいものです。ただ、長年使ってきた思考の道具が、少し今の環境に合わなくなっていただけなのです。

「今のままの自分を大切にしながら、生きづらさを作っている部分だけを少し調整していく」。この確信を得られたことで、心理的な防衛本能が和らぎ、前向きに取り組む力が湧いてきたのでしょう。

うつ病の治療において認知行動療法は薬物療法と匹敵する効果がある

Sさんの許可を得て、Sさんの心理テストの結果をグラフ化したものをご紹介します。

DACS(抑うつや不安を引き起こす自動思考を測定する心理テスト) 標準化得点の変化

この心理テストは抑うつや不安を引き起こす自動思考(考え方の癖)を測定するものです。
自動思考とは、何か出来事があった瞬間に反射的に浮かぶ、歪みを含んだ思考のことです。

このグラフの縦軸の標準化得点というのは 偏差値と同じで、50が平均で、60以上になると強いと判断できます。
Sさんの場合、ご自分の将来や過去について否定的にとらえる考え方の癖が強かったのですが、全項目が2ヶ月弱のトレーニングで60未満に下がりました。

認知行動療法は、うつ病に関しては、薬物療法と同等の効果があることや、再発予防効果が高いことが多くの厳格な研究で示されています。

DeRubeis(2005)の研究では、認知療法が重症のうつ病にも薬物療法と同等の効果を持つことが示されています。
またHollon(2005)は、その高い再発予防効果を証明しています。

参考・出典URL

DeRubeis, R. J., et al. (2005). "Cognitive therapy vs medications in the treatment of moderate to severe depression."
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15809408/

Hollon, S. D., et al. (2005). "Prevention of relapse following cognitive therapy vs medications in moderate to severe depression."
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15809409/

この記事を書いた人

心理カウンセラー 田中耕一郎
公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。

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