
離婚後、3人の子供と離れて暮らすことになり、他人の子供を見るたび「置き去りにしてきた悪い母親だ」と激しい罪悪感に苦しんでいた40代のM.Yさん。特に夜、布団に入ると子供たちの記憶に苛まれて眠れない日々が続いていました。再婚を機にさらに強まった自分を責める思いを解消するため、熊本カウンセリングを訪問。心理セラピーによって長年の罪悪感が劇的に軽減し、その日の夜からぐっすり眠れるようになるまでの回復の物語です。
体験談掲載の許可をいただいています。
離婚して、会えなくなった子供を思い出して自分を責めていた

以前に離婚しました。3人の子どもがいたのですが、3人とも前の夫に引き取られました。その後、独りになって他人の子どもを見ると「自分は子どもを置き去りにしてきた悪い母親だ」というような自分を責める気持ちが心をよぎるようになりました。
とくに、寝るときに布団に入って目をつぶると必ず子どもたちのことを思い出して、自分を責めていました。そうすると眠れなくなって、かなり長い時間を布団の中で苦しむのです。自分を責める気持ちと明日仕事だから早く寝ないといけないというようないろいろな気持ちが混ぜ混ぜになって心に広がるのです。
自分を責める思いが軽くなった

その後、再婚したのですが、再婚するとますます自分を責める気持ちは強くなりました。「子どもたちを置き去りにしたお母さんだけが新しくいい環境に入ってしまってごめんね」というような気持ちが湧いてくるのです。
そのようなとき、友達から熊本カウンセリングを紹介されて、面接の心理カウンセリングを申込みました。田中先生は話しやすいし、真剣に聞いてくださったので、他人には言わないようなことまで正直に話しました。その後、「まずは心理セラピーで自分を責める気持ちを抑えましょう」と言われて心理セラピーを受けました。心理セラピーを受けながら、「こんなので効くのかなあ」と不安でした。
しかし、終わってみるとびっくりしました。確かに効果があるのです。私には、自分を責める気持ちを起こさせるある決まった記憶シーンがあったのですが、それがうっすらと霧がかかったようになってはっきりと思い出せないのです。そして、自分を責める思いが軽くなったのです。心理セラピーの前を10とすると2ぐらいになったのです。
そして、急に「会えなくなった子どもたちには前の夫がいるし、前の夫のご両親もいらっしゃる。必ず立派に育ってくれる。」「子どもたちは大人になったら必ず会いに来てくれる」という強い気持ちがしてきたのです。
そしてその日の夜から、すぐに眠れるようになったのです。何の思い出も感情も出てこないうちに眠りに入れるのです。今でもこの状態が続いています。すごく嬉しいし、凄いなあと思います。
熊本カウンセリングは友達にも薦めたいです。田中先生は何でもいえる雰囲気です。病院ではないし、部屋の中も病院ぽくないところがいいです。また、心理セラピーも心配要りません。安心できます。
(40代女性 M.Y.さん)
心理カウンセラーからコメント

M.Yさんが離婚によって3人のお子様と離れ離れになり、長年「自分は悪い母親だ」と夜も眠れないほどの激しい罪悪感に苛まれながらも、心理セラピーを通じて心の平穏を取り戻し、ぐっすり眠れるようになられたことを大変うれしく思います。
心理療法家の視点から、M.Yさんの心と脳に起きていた変化のメカニズムを解説いたします。
再婚で悪化した「母親としての罪悪感(サバイバーズ・ギルト)」
O'Connor, L. E., Berry, J. W., Weiss, J., Bush, M., & Sampson, H. (1997)らの研究では、人間には「自分が幸せになることで、愛する人を傷つけたり裏切ったりしたように感じてしまう」不合理な罪悪感(Interpersonal Guilt)が備わっていることを証明されました。
M.Yさんが再婚後に自分を責める気持ちが一段と強まったのは、まさにこの「分離ギルト」や「サバイバー・ギルト」と呼ばれるものが過剰作動したためと考えます。
「苦しんでいる(かもしれない)子どもを置いて、自分だけが温かい環境にいていいのだろうか」という愛情ゆえの葛藤が、自分を罰するブレーキとして作動していました。
これは、母親としての強い責任感と深い愛の裏返しなのですが、未処理のまま放置すると、自己肯定感を著しく低下させ、慢性的な精神的疲弊を引き起こす原因となります。
就寝時の脳の暴走と、セラピーによる「記憶のサブモダリティ」の変容
布団に入って目をつぶると必ず特定のシーンが再現され、激しい不眠に陥っていたプロセス。これは、脳がリラックスしようとする睡眠前に、未処理のトラウマ記憶(視覚データ)が脳の感情中枢を直撃し、交感神経を強制的に過覚醒(興奮状態)にしていたためと考えます。
M.Yさんが「記憶のシーンが霧のようになり、はっきり思い出せなくなった」と驚かれた心理セラピー(イメージ療法やNLP、EMDRなどのアプローチ)は、脳内における記憶の「サブモダリティ(輝度、鮮明さ、距離などの要素)」を物理的に変化させたものです。
オックスフォード大学のA., & Mathews, A. (2010)らの研究では、脳内の「映像(イメージ)」は言語による思考よりもはるかにダイレクトかつ強力に感情中枢を揺さぶること、そしてイメージの書き換え(Image Rescripting)や特性の変更によって記憶の鮮明さを薄れさせる(霧がかかったようにする)と、それに伴う苦痛や罪悪感が一瞬で激減することを科学的に証明しました。
M.Yさんの記憶が「思い出しにくくなり、苦痛度が10から2へ落ちた」プロセスは、心理セラピーによって、この脳の感情処理の仕組みが100%正確に機能した結果です。
参考・出典URL
O'Connor, L. E., Berry, J. W., Weiss, J., Bush, M., & Sampson, H. (1997). Interpersonal guilt: The development of a new measure. Journal of Clinical Psychology, 53(1), 73–89.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9120036/
Holmes, E. A., & Mathews, A. (2010). Mental imagery in emotion and emotional disorders. Clinical Psychology Review, 30(3), 349–374.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20116915/
この記事を書いた人
- 公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。
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