
「定年退職した夫が不機嫌で、年々扱いにくくなっている」——。そんな切実な悩みを抱える60代のK.Rさんが、前世療法を通じて手にした「夫婦円満の処方箋」の記録です。催眠の中で出会ったのは、後悔を抱え江戸を彷徨った一人の浪人。自分の中に潜む「正義感ゆえの厳しさ」に気づき、高次の存在から授かった「間(ま)をとりなさい」という教え。反応的な自分を手放し、穏やかな日常を取り戻すための心の軌跡を綴ります。
体験談掲載の許可をいただいています。
夫が不機嫌で怒ってばかりいる
「定年退職した夫が年々扱いにくくなっている」
「不機嫌で怒ってばかりいる」
それがK.Rさんの悩みでした。
そこで今回の前世療法のテーマは「夫婦関係を改善するには?」と設定しました。
前世は江戸時代の浪人 本郷新之助

前世療法を始めてK.Rさんの心の中で最初に見えてきたのは、旅姿の武士。
じっと考え込んでいます。
江戸時代で場所は九州のどこか。
武士の名前は本郷新之助。それがK.Rさんの前世でした。
新之助の父は藩の勘定方に仕える武士。
新之助は明るくのびのびとした子供でした。
青年になった新之助は藩の学問所に通います。
ある日、そこで仲間の武士たちと激しく口論します。
血気盛んな青年たちの口論は、真剣を使った戦いにまで発展します。
草原で、二つに分かれて、刀を抜いて斬り合っています。
その戦いの中で新之助は一人の若い武士を斬ってしまいます。
この事件をきっかけにして、新之助は故郷にいられなくなり、逃げるようにして旅に出たのでした。
この後、新之助が再び故郷の地を踏むことはありませんでした。
新之助がたどり着いたのは江戸。
長屋に住み、内職を続けます。
わびしい気持ちでいっぱいです。
ある藩の江戸屋敷で雇われて働いた時期もありました。
この時期は明るく張り合いがありました。
そして新之助は67歳で病死。
故郷を飛び出し、江戸で長い浪人生活をした人生でした。
この前世の自分の死の場面を見て、その後に前世の自分やハイアーセルフ(その人の一生を守ってくれる魂)との会話をして、このときの前世療法は終了しました。
ハイヤーセルフからのメッセージ
クライアント様から下記のご感想をいただきました。
私は映像はあまり見えませんでした。
映像というより、直感的に感じて分かりました。
ふっと「侍だったみたいだな」という感じで浮かんできました。
ただ最後に前世の新之助やハイアーセルフと会話したときは本当に強い感情がこみあげてきました。
私と新之助は少し似ているところがありました。
実は私は若いころは正義感が強くて、「不正はダメ」と一刀両断するように考えるところがありました。そしてその性質はいいことだと思っていた時期がありました。
それが年を取るにつれて、「ちょっと待てよ」とその気持ちを抑えるようになって、「それはいいことばかりでもない」と考えが変わってきています。
前世でも私の若いころの傾向が相当あったのかなと思いました。
前世の新之助からは、
「人を傷つけてはいけない」
「周りの人と仲良く暮らしていることを嬉しく思っている」
「ときどき慢心している。自分をより良くするために励んでほしい」
「よくがんばっている」
「愛を広げてほしい」
「いろんな存在が応援している」
「勇気を出して、まだまだこれからだよ」
「これからもいろいろなことに気づかせてあげるから」
という言葉をもらいました。
涙が出ました。
ハイアーセルフはこれまでずっとそばにいてくれてたんだなと感じました。
自分を守ってくれる存在が本当に私を応援したがっているのだなと思いました。
ハイアーセルフからは、
「他人との関係の中で『間』をとりなさい」
「『間』が大事だよ」
と言われました。
夫との関係の中で「間」をとる
夫との関係の中でも「間」をとることができれば、落ち着いて、穏やかに対応することができると思いました。
夫から言われた言葉にすぐ反応する自分がいるのです。
自分が変わらない限りは他人との関係は変わらないので、まずは「間」をとることに心がけたいと思います。
そうしてみようと本当に思いました。
また、
「過ちは素直に認めて詫びる」
「詫びた後に、新しく生きなおす」
「仲良く、和を大事にする」
ことが大切だなと思いました。
(60代女性 K.Rさん)
心理カウンセラーからコメント

K.R.さん、まずは今回の前世療法を通じて、ご自身の内面にある深い智慧とつながり、ご主人との関係に新しい光を見出されたこと、心よりお祝い申し上げます。
定年退職という大きなライフイベントを経て、生活リズムや距離感が変わる中で、ご主人の「不機嫌」や「怒り」に向き合うのは、並大抵のエネルギーではありません。この時期の夫婦関係の再構築は、人生における非常に重要な「成熟への課題」の一つです。
K.R.さんの「間」をとるという気づきはとても重要です。
夫婦関係の中で「間」をとる具体的な方法をいくつかご提案します。
アンガーマネジメントの6秒ルール
ご主人の不機嫌な言葉を聞いた瞬間、脳内では「闘争・逃走反応」が起きています。新之助が草原で刀を抜いた時と同じ状態です。ここで「間」を物理的に作ります。
具体的なやり方はこうです。
ご主人に何か言われて「ムカッ」としたら、返事をする前に心の中でゆっくり「1、2、3、4、5、6」と数えます。
怒りを司る「扁桃体」の興奮は、ピークを過ぎるのに約数秒かかります。アンガーマネジメントでは「6秒ルール」を提唱しています。6秒待つことで、理性を司る「前頭前野」が主導権を取り戻し、言葉を選ぶ余裕(間)が生まれます。
刀を鞘(さや)に収めるイメージ療法
新之助の物語(メタファー)を逆手に取ります。ご主人の怒りを「飛んでくる矢」や「斬りかかってくる刀」に見立てます。
具体的なやり方はこうです。
ご主人の言葉に反応しそうになったとき、「自分は今、立派な日本刀を鞘に収めている武士だ」とイメージします。相手がどれほど挑発しても、真の強者は刀を抜きません。
「言い返さない自分」を「我慢している弱者」ではなく「刀を抜かない熟練の武士」という誇り高いセルフイメージに置き換えます。これが「精神的な間」を生みます。
「アイ・メッセージ」での歩み寄る
K.R.さんが気づかれた「過ちを認めて詫びる」を、アサーション(心理学的なコミュニケーション技術)として実践します。
具体的なやり方はこうです。
「(あなたは)なんでそんな言い方するの!」というYou(あなた)メッセージではなく、「(私は)そう言われると、少し悲しくなるの」というI(私)メッセージで伝えます。
相手を「不正だ」と裁く(一刀両断する)のではなく、自分の脆弱性を開示することで、相手の防御本能を下げます。これが「関係性の間」を柔らかくします。
物理的な「聖域」を確保する
定年後の夫婦において最も大切なのは、家の中に「お互いの視線が入らない間」を作ることです。
具体的なやり方はこうです。
夫の不機嫌が始まったら、その場からスッと離れます。「ちょっとお茶を淹れてくるね」「洗濯物を取り込んでくるわ」と言って、物理的な距離(間)をとります。
狭い空間での「不機嫌の伝染」を防ぎます。ハイヤーセルフの言う「間」には、この物理的なパーソナルスペースの確保も含まれていると思います。
この記事を書いた人
- 公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。
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