
高校生の頃まで母親から愛情をかけてもらえず、母親への恨みを持っていたクライアント様の心理カウンセリング体験談を紹介します。母親に関するさまざまなトラウマ記憶を心理療法で手放すことができました。その後母親の言動に振り回されなくなり、関係が急速に改善されました。今では母親の愛情を感じるまでになりました。掲載の許可をいただいています。
母親に恨みを持っていました

私がカウンセリングを受けた始めたときは、母親との関係で昔のトラウマがなかなか消えない状態でした。そのトラウマがあるため、母親に対して恨みを持っていました。
私が中学生や高校生の頃、私は勉強をしないと母親から愛情が与えられないという感覚がありました。
例えば、母親と車に乗っているときは、助手席で勉強していないと母親は不機嫌になっていました。
また小さい頃は母親の言うことを聞かないと、一週間ぐらい口を聞いてもらえず無視されていました。
高校生の頃はほとんど話かけてくれませんでした。コミュニケーションがとれませんでした。それでも私の方で無理をしながら母親に話しかけていたら、その後5年間ぐらい母親以外の人に話すことも辛くなった時期がありました。
その頃は家にいると心臓のあたりが痛くなる感じがあって、当時あった熊本市の交通センターのトイレで勉強していました。家に帰ると母親から「男と会っていたのだろう」と言われてとても傷つきました。それはトラウマのひとつになっていました。
私はこの高校生の頃うつ病と診断されたのですが、私ではなくて母親の方が病気だと思っていました。
トラウマ記憶が解消され、母親との関係が良くなった

熊本カウンセリングで受けたカウンセリングの中で印象的なのはこの高校生の頃のトラウマ記憶を心理療法で解消してもらったことです。
そのおかげで母親との関係が良くなりました。母親を恨む気持ちがなくなりました。
これまでは母親の行動のひとつひとつに不安を感じていました。それがなくなりました。
とくに母親が不機嫌にしているととても気になっていたのです。それがそれほど気にならなくなりました。
また母親と話しているときに、母親の相槌がヘンだと感じた時に、「あっ、私はヘンなことを言ったのかな」と気になっていました。
他にも母親の言葉のちょっとしたニュアンスが気になって、気持ちが不安定になっていました。
その自分の不安定な気持ちはずっと溜め込んでいるのですが、しばらくすると爆発してモノに当たっていました。
そんな不安定な気持ちが解消されたのです。
母親の愛情を感じるようになった

それと母親の愛情を感じることができるようになりました。
例えば、母親は氷川町の熊本カウンセリングまで熊本市内の自宅から送迎してくれるのですが、私に対する愛情がないとできないことだなと思います。
毎日の食事を作るときには、私が豚肉の脂身が嫌いなので、母親がわざわざそれを切り取ってくれます。
また私が「こういうところが気になるので変えてほしい」と伝えると、母親は反論せずに聞いてくれるようになりました。
母親のそういう姿を見るとき、愛情を感じます。
体調面でも良い変化があった

体調面でも良い変化がありました。
以前は疲れやすかったのです。
2、3秒間、台所に立つのですらきつい状態でした。
ちょっと仕事しては休んで、ちょっと仕事しては休んでを繰り返していました。
休憩をたくさんとらないと1日過ごせませんでした。
それが今では休憩をそれほどとらなくとも続けて動けるようになりました。
今は2時間ぐらいは休憩なしで仕事ができます。その後休憩を30分から1時間ぐらいとるようにしています。
母親に恨みがある人にアドバイス
私は高校生の頃のトラウマ記憶を思い出していた頃に、「この母親への恨みの気持ちを持ち続けないとまた同じことが起きてしまう」と考えて、恨みを手放せませんでした。恨みを手放すことが怖かったのです。
でも実際に母親に対する恨みを手放してみたら、母親との関係がどんどん良くなっていきました。
ですから私と同じように恨みを手放すのが怖い人には、一度手放してみるといいですよ、とアドバイスしてあげたいです。
自分の力で恨むのを止めようとか、恨みの気持ちに蓋をしようとすると逆に悪い方向に行くと思います。カウンセラーさんとか専門の人に頼った方が改善しやすいと思います。
私は最初は本を読んだりインターネットを見たりして自力で改善しようとしましたがうまくいきませんでした。がんじがらめになって余計に自分の中がごじゃごじゃしていました。
熊本カウンセリングに来てなかったらもっとこじらせていたと思います。
(30代女性 M.Iさん)
心理カウンセラーからコメント

母親からの愛情を感じられない体験は、子どもの心に深い傷を残します。特に「勉強しないと愛されない」「言うことを聞かないと無視される」といった条件付きの愛は、子どもに「自分には存在そのものの価値がない」という誤った自己イメージを植えつけてしまうことがあります。
それは、やがて「母親に好かれるように努力しなければ」「拒絶されないように気をつけなければ」といった“過剰な適応”を生み、思春期や成人後も人間関係の不安や疲れやすさとして続くことがあります。
このクライエント様も、母親に認められようと努力を重ねるあまり、自分の感情を押し殺し、心と体が限界に達してしまった時期があったのだと思われます。家にいると心臓が痛むほどの緊張状態にあったというのは、まさに「安全基地を失った子どもの心の叫び」だったでしょう。
印象的なのは、「恨みを持ち続けないと、また同じことが起きてしまう」と感じていたという部分です。これは、トラウマを持つ人にとてもよく見られる心理反応です。
恨みや怒りは、かつての自分を守るために必要だった“心の盾”でもあります。そのため、手放すことは「再び傷つくかもしれない」「あの苦しみを忘れたら、自分が否定されてしまう」と感じてしまうのです。
しかし、心理療法によって安全に過去の体験を再処理し、心が「もう大丈夫」と感じられるようになると、その盾を自然に置ける瞬間が訪れます。まさにクライエント様が体験された「恨みが自然と消え、母の不機嫌にも揺れなくなった」という変化は、心が回復へと向かった証です。
母親の言葉や態度が以前と少しも変わらなくても、心の受け止め方が変わると関係性そのものが変化していきます。
母親の相槌や表情に過剰に反応してしまっていた頃から、「あ、今のは母の癖だな」と客観的に見られるようになったことで、クライエント様は母親の感情の波に巻き込まれなくなったのでしょう。
すると、母親の中でも少しずつ安心感が生まれ、言葉や態度も柔らかくなっていく――このように、家族関係では「一方が変わると、もう一方も変わる」ことがしばしば起こります。
このクライエント様の歩みは、まさに「恨みの先にある優しさと安心」を取り戻した実例です。母親との関係に悩む方にとって、希望の光になるでしょう。
この記事を書いた人
- 公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。
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