パニック障害で車の運転ができなかったけれど…!

パニック障害で車の運転ができなかったクライエント様のカウンセリング体験談をご紹介します。
心理セラピーのセッションを5回受けられて、パニック障害は解消され、車の運転もできるようになられました。
掲載の許可をいただいています。

5年前の帝王切開の恐怖体験からパニック発作が出始めた

ベッドの中で不安を感じている女性

私は5年前に帝王切開をしました。そのときに激しい恐怖を感じました。それ以来パニック発作が出はじめました。

歯医者、美容室、会議、車の運転、タクシーなどが苦手になりました。具合が悪くなってもすぐに自由になれないと感じる状況になると不安を感じるのです。
車を運転していても必ず逃げ道を探していました。例えば運転していて「今もしも苦しくなったら、あそこを左折しよう」というようにです。

最近では車を運転するのもドキドキするし、どこかへ行くのも息が苦しくなる。そして運転ができなくなりました。

病院に勤めているのでいろいろな患者さんと話をする機会があります。その話を聞くと、自分が健康であることがウソみたいに感じていました。たまたまそれが精神疾患の患者さんだと、自分も同じような気分になっていました。

いつも不安が頭から離れないので、寝れないし、ご飯を食べれない。それが2週間ぐらい続いて、ちょっと良くなったかと思うとまた思い出して元に戻ったりしていました。
考えないほうが良いとわかっていても、考えてしまう。そして考えるれば考えるほど不安になり、どん底に落ちていきました。

当時、薬だけは飲みたくないという気持ちがありました。病院に勤めていて毎日いろんな患者さんを見ているし、私自身も薬の登録販売者になっていて知識があったので、薬に頼りたくなかったのです。一生薬を飲まないといけなくなるのは困るからです。

絶対自分で治してやろうという気持ちはあったのです。
そこで、考える時間をなくそうと思って、運動したり、考え方が明るくなるような本を読んだりしていました。しかし、不安はなくなりませんでした。

車の運転も普通にできるようになった!

笑顔で車の運転をする女性

そして毎日毎日病気のことばかり考えていると、何のために自分は生きているのだろうと思い始めて、うつ気味になってきました。そこでこれはもうカウンセリングに行くしかないと考え、熊本カウンセリングをネットで検索して見つけました。

他のカウンセリングや治療院のホームページもいくつか見て比べましたが、私は熊本カウンセリングにしようと直感的に決めました。

初めて、熊本カウンセリングに行ったとき、早く今の状況を抜け出したいという気持ちしかなかったので、熊本カウンセリングに対しての不安はありませんでした。誰かにすがりついて、どうにかして抜け出そうという気持ちで一杯でした。

最初に心理療法をしたときには、これで私の不安が消えるのかなと半信半疑でした。しかし、同じことを2回、3回と繰り返していくと、最初の感情とは全然違うことに気づいて、あれっと思いました。自分でも不思議なくらいでした。すごいなと後から実感しました。

5回のセッションを受けたのですが、最初は思い出すだけでも嫌な気持ちで一杯だったのですが、今は過去のことを思い出してもそこまで感情が湧いてきません。
昔はちょっと思い出しただけで、またそうなったらどうしようという気持ちがどっとでていたのですが、今はその体験で気づいたこともたくさんあったなとか考えています。
車の運転も普通にできるようになりました。

最初の不安のレベルを10とすると、今は2ぐらいまでに下がりました。

今でも以前のようなマイナス思考がときどきふと出てきますが、そうじゃないと考えないようにしたり、プラス思考をするようになりました。今後これがもっと習慣づけばいいなと思います。

これまですぐにクヨクヨしたりしていたけれど、考え方が変わってきたので、これから今まで以上に楽しく生活できればいいなと楽しみです。

自分が成長したのかな

笑顔で食事をする女性

先日の日曜日に、父の日のプレゼントを買いに近くの雑貨屋さんに行きました。その店に行ったのは半年ぶりぐらいでした。
その雑貨屋さんは私の同級生の親御さんがされているのですが、「顔つきが変わったね」と言われたのです。気になって話していると、「昔からあなたのことを知っているけれど、しっかりして落ち着いた感じがする」と言われました。

また一昨日、職場の同僚と一緒に食事に行って話していたら、「考え方が大分変わったね」とも言われたのです。

私は今回の体験で考え方が変わってきたので、それで自分が成長したのかなと思っています。

振り返ると私は今まで何も挫折せずに生きてきました。
親も優しいので甘えて生きてきました。

今回私が病気になって、親にもずいぶん心配してもらったり、援助してもらったりしました。そのとき私はつくづく恵まれているなと実感しました。親や家族に対する感謝の気持ちが湧いてきました。
今回の体験が私の人生にとって何か良い意味があるとすれば、この感謝を知ったことです。

今後は、周りの人が私のように不安になったときには私が今回の体験を活かして助けることができたらなと思います。

パニック障害に苦しんでいる人にアドバイス

私と同じようなパニック障害で苦しんでいる人がいると思います。
その人たちの気持ちはよく分かります。
出口が見えなくて、先が見えない状態。自分はダメだと思ってしまう。光が見えなくて、絶望してしまう。

しかし私は「自分は大丈夫、必ず良くなる」「こんなに苦しんだのだからきっと良くなる」と信じることでなんとか回復してきました。

私と同じような状態の人たちには、「諦めないで」「自分を信じて」とアドバイスしたいです。

(30代女性 N.Sさん)

心理カウンセラーからコメント

心理カウンセラー

N.Sさんの体験談を読ませていただき、本当によくここまで回復されましたね、と心からお伝えしたいです。
5年前の帝王切開という大きな出来事が、後にパニック発作につながってしまったという経過は、多くの方が見落としがちな「身体的・心理的トラウマの影響」をよく表しています。手術の際に感じた強い恐怖や「体が自分の思い通りにならない」体験は、心の奥に深く刻まれ、時間がたってから不安発作や過呼吸といった形で現れることがあります。N.Sさんが感じられていた「逃げられない」「閉じ込められるような状況への恐怖」は、まさに当時の体験の記憶が無意識下で再生されていた可能性があります。

それでもN.Sさんは、薬に頼らず「自分の力で治したい」と強く願い、運動や読書、ポジティブ思考などご自身なりに工夫を重ねてこられましたね。その努力は決して無駄ではありませんでした。むしろ、その強い回復意欲が、後のカウンセリングや心理療法の効果を最大限に引き出す大きな原動力になっていたと思います。多くの方は「自分の力ではもう無理だ」と思いがちな中で、N.Sさんのように「必ず良くなる」と信じ続けた姿勢は本当に素晴らしいです。

心理療法の体験を通じて、初めは半信半疑だった不安や恐怖が、回を重ねるごとに薄らいでいく感覚を実感されたとのこと。これは心の記憶が安全に書き換えられた証拠です。トラウマ記憶が癒えると、かつての「逃げ道を探すような不安」は次第に薄れ、安心して行動できるようになります。N.Sさんが「車の運転も普通にできるようになった」とおっしゃっているのは、まさにその成果です。

また、印象的なのは、回復の過程で「考え方が変わった」「感謝を感じるようになった」と語られている点です。心理療法では、症状の消失だけでなく、「人生観の変化」「自己理解の深化」が訪れることが少なくありません。今回の経験を通じて、N.Sさんが「自分は恵まれている」「家族に感謝できる」と気づかれたことは、心の成長そのものです。人は苦しみを通して、本当の優しさや感謝の意味を学ぶことがあります。まさにN.Sさんは、その大切なプロセスを自ら体験されたのだと思います。

さらに、職場の同僚や知人から「顔つきが変わった」「考え方が変わった」と言われたというのも、とても大きな変化のサインです。心が安定すると、表情や雰囲気にも自然とそれが表れます。心理学的にも、内面の落ち着きは非言語的な表現(顔の柔らかさ、声のトーン、姿勢)を通じて周囲に伝わります。つまり、N.Sさんの変化は、単なる「症状の改善」にとどまらず、「生き方そのものの変容」にまで至っていると言えるでしょう。

最後に、「同じように苦しむ人たちに『諦めないで、自分を信じて』と伝えたい」という言葉には、深い意味があります。自分が経験した苦しみを、誰かの希望に変えていけるということは、人としての大きな成長の証です。心理学の世界では、これを「ポストトラウマティック・グロース(心的外傷後成長)」と呼びます。N.Sさんはまさにその過程を歩まれています。

N.Sさん、本当によくここまで頑張られましたね。これからも時には不安を感じることがあるかもしれませんが、そのたびに「もう大丈夫、私は乗り越えた」と、ご自身の力を信じてください。その信頼が、これからの人生をさらに穏やかで豊かなものにしていくはずです。あなたの体験は、同じように苦しむ多くの方にとって、確かな希望の光となるでしょう。

この記事を書いた人

心理カウンセラー 田中耕一郎
公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。

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