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性的虐待のトラウマに悩む20代女性がカウンセリングと心理療法で改善

2026 6/15
2026年6月15日
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中学生から20歳頃まで実母の再婚相手から性的虐待を受け、10年間にわたり男性恐怖や激しいフラッシュバック、悪夢に苦しんできた20代のN.Sさん。日常生活に支障が出るほど深く落ち込む娘を心配した母親の勧めで、熊本カウンセリングを訪れます。過去の傷を誰にも言えず「なかったことにしよう」と心を閉ざしていた彼女が、心理療法を通じてトラウマを克服し、穏やかな日常を取り戻すまでの勇気ある回復の記録です。
掲載の許可をいただいています。

母の再婚相手に性的虐待を受けた

私はカウンセリングを受ける前は精神的に不安定で、家族を心配させるくらい落ち込むことが度々ありました。

それを見た母親が心配してカウンセリングを勧めてくれました。
それでこちらに来ようと思いました。

中学生の頃に母親の知り合いの男性と同居するようになりました。
その男性はその後母親と再婚します。
私はその再婚相手に性的虐待を受けるようになったのです。

夜に私の部屋に入ってきて、服の中に手を入れて、体を触るのです。
着替えを覗かれたりもしていました。

それは多いときは毎晩続きました。
平均すると月に1回か、2カ月に1回ありました。

それは20歳になる前ぐらいまで続きました。

当時はとにかく怖かったです。
ただ、母親を悲しませたり、動揺させたりしたくなくて、ずっと黙って我慢していました。

性的虐待は私に大きな影響を与えた

この20歳ごろまで受けた性的虐待は、その後も私に大きな影響を与えました。

まず男性が苦手になりました。

男性を見ると「怖い」と感じていました。
男性に近づけませんでした。
3メートルとか、5メートルとか離れていました。

男性とお付き合いはできなくなりました。
1回お付き合いした人がいるのですが、一緒にいるとだんだんと気持ち悪くなってしまって、続きませんでした。

また性的虐待をされていた場面がフラッシュバックすることもよくありました。
気持ちが落ち込んだ時によくフラッシュバックしていました。

性的虐待の夢もよく見ていました。
1カ月のうち、1週間から半月ぐらいは見ていたと思います。
それは10年ぐらい続きました。

夢の内容はいつも同じもので、私が実際に受けた性的虐待と同じことと、その男性に対して私が怒ってどなっている内容です。

性的虐待のフラッシュバックがなくなり、夢にも見なくなった

私が受けた性的虐待についてはこれまで誰にも話したことがなかったので、熊本カウンセリングに初めて来たときにはそれを話すことに不安がありました。

1回目のカウンセリングの後には「話さなければよかった」という後悔がありました。
それまでは「なかったことにしよう」と思っていたものが、本当のこととして感じられたからです。

2回目から10回目ぐらいまでトラウマを解消する心理療法を受けました。
初めて受けたときは、性的虐待のイメージが本当にぼやけて、今では全然思い出せなくなったので、びっくりして驚きました。
それまでずっと消えなかったイメージだったのですが。

またフラッシュバックもしなくなり、夢も見なくなりました。
思い出すこともないです。

性的虐待については田中先生にしか話していないのですが、このことを話すことにも抵抗がなくなりました。

鬱っぽい感じもなくなりました。
落ち込んだときに、さらに性的虐待を思い出して畳みかけられることがなくなったので、ひどく落ち込むことが全然なくなりました。

これまではひどく落ち込むと、日常生活に支障がでるぐらい寝込んだり、家事ができなくなったりしていました。それがなくなったので生活が楽になりました。

性的虐待に苦しんでいる人にアドバイス

私と同じように性的虐待で苦しんでいる人は、きっとそのことを誰かに話すことができないと思います。
それを自分の中にずっと閉じ込めていると思います。

誰かに相談するとか、カウンセリングを受けるということを考えるだけでも辛いだろうと思います。

けれども、そこを乗り越えて、勇気を出してトラウマの克服に挑戦してほしいと思います。
どこかで転機があれば、人生が良くなると思います。
私もまだその途中ではありますが・・・。

(N.Sさん 20代女性)

心理カウンセラーからコメント

性的虐待で大人になっても男性恐怖や悪夢、うつが続く

児童期(中学生〜成人前)に受けた性的虐待のトラウマが、なぜ10年もの長きにわたり、男性恐怖(男性を前にすると気持ち悪くなる、近づけない)、激しいフラッシュバック、月の半分近くも見る悪夢、そして家事もできないほどの重いうつ状態を引き起こすのでしょうか。

Briere, J., & Runtz, M. (1987)の研究により、子ども時代に性的虐待を受け、誰にも言えずに我慢(沈黙)していたサバイバーは、成人後に高確率で深刻なPTSD症状(フラッシュバック、反復する悪夢、加害者と同性の人間に対する強い回避・恐怖反応)および重度のうつ病、日常生活の機能不全を呈することが科学的に証明されました。

N.Sさんが長年悩まされていたのは、過去の性的虐待に深く根ざした「未処理のPTSD」であったと考えます。

心理療法でフラッシュバックや悪夢が消える

Arntz, A., & Weertman, A. (1999)らの臨床研究により、子どもの頃に性的虐待などの重篤なトラウマを受けた成人患者に対し、イメージを用いた心理療法を導入すると、脳内で過剰に自己主張していた生々しい被害イメージの鮮明度(Vividness)が有意に低下し、ぼやけた過去の記憶へと変化することが実証されました。

これに伴い、何年も続いていたフラッシュバックや、加害者に怒りをぶつけるような反復性の悪夢(夢の中での防衛行動)が劇的に消失し、うつ病の寛解や日常生活のQOL(幸福度)が大幅に向上することが証明されています。

N.Sさんのうつ状態の程度をBDIテスト(Beck Depression Inventory =ベックうつ病調査表)で測定していました。
BDIテストは、認知行動療法を提唱したアメリカの精神科医アーロン・T・ベック博士によって考案されたもので、 抑うつの程度を客観的に測る自己評価表です。

N.Sさんはカウンセリングを始めた当初は中度から重度のうつ状態と考えられました。
その後、性的虐待のトラウマ解消セラピーの回数を重ねるにつれて数値が下がり、6月21日には9点まで下がりました。
BDIテストでは10点以下が健常な状態として判断する目安になっています。

N.SさんにもArntz, A., & Weertman, A. (1999)らの研究結果と同様のことが起きたと考えます。

参考・出典URL

Briere, J., & Runtz, M. (1987). Posttraumatic stress effects of childhood sexual abuse. Journal of Interpersonal Violence, 2(4), 367–379.

Arntz, A., & Weertman, A. (1999). Treatment of childhood trauma with imagery rescripting. Behaviour Research and Therapy, 37(8), 715–725.

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忘れたいのに忘れられない記憶に苦しんでいませんか。事故や災害、いじめや裏切りなどで刻まれたトラウマは、心と体に強い反応を起こします。熊本県八代郡氷川町の『熊本カウンセリング』では、公認心理師による心理療法で安心して相談でき、少しずつ回復に向かうサポートを行っています。

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この記事を書いた人

心理カウンセラー 田中耕一郎のアバター 心理カウンセラー 田中耕一郎 熊本カウンセリング 代表

公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来18年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに8,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。

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