無職で家でダラダラしていたけど、動き出せた!

前職の工場の仕事を退職して、4か月間ゲームや寝てばかりの生活をしていたK.Tさん。「早く働かないといけない」という気持ちと「もう少しこのままでいたい」という気持ちの間で葛藤していました。3回の心理カウンセリングが転機になり、ついに動き出すことができました。体験談掲載の許可をいただいています。

工場勤務で体を壊して退職した

工場で働く男性

私は前の職場を退職した後、4か月ぐらいの間、家に籠っているだけで何の行動もしていませんでした。
何か行動しないといけないと思っていました。

前の職場は工場でした。
2交代制で1週間ごとに日勤と夜勤が入れ替わっていました。
残業も多くて体がもたなくなりました。体調を一気に崩してしまったのです。
そのため次第に会社に行かなくなってしまって最後は退職しました。

残業は月35時間ぐらいで周りの人と比べると少ない方でしたが、それでも私にとっては多くてきつかったですね。

退職して4か月間ゲームか寝てばかりの生活

ゲームをする男性

退職してから、家の中でダラダラしていました。
朝8時ごろに起きて仕事に行く母親の弁当を作って、洗濯をして干します。
その後は寝るかゲームをしていました。

親が帰ってくる夜7時頃までその調子で、その後は晩御飯をつくって食べて片づけをして、風呂に入って、その後はまた寝るかゲームをしていました。

ゲームをするときは夜9時から12時ごろまでしていましたね。

ゲームをしていて楽しかったのですが、心のどこかに「このままじゃダメだな」という焦りのような気持ちがありました。

母親と二人暮らしなのですが、無職だったので母親から「お金がなくなる」と言われ続けていました。母親一人の稼ぎでは生活費だけでも少し足りないぐらいでした。

それで「早く働かないといけない」という気持ちと「もう少しこのままでいたい」という気持ちの間で葛藤していましたね。それで4か月間ズルズルしてしまったのです。

朝遅く起きたりして、弁当づくりや洗濯などの家事をするのが遅れるときがあるのですが、母親からは「無職なのに、なんでできないの?」と叱られていました。
自分でも「なんでできないんだろう?」と思っていましたね。

カウンセリングで気持ちが前向きになった

カウンセリングを受ける男性

母親は無職のまま動き出さない息子の私を心配して、いろいろと調べていたようです。
「精神科の病院か、カウンセリングにいったほうがいいんじゃない?」と言われていました。

ある日、突然、母親が熊本カウンセリングを見つけて、「今から行くよ!」と言われて連れてこられました。

初めてカウンセリングを受けたときは、言いたいことが素直に言えました。安心感がありました。

母親には言いづらいことがあるのですが、カウンセリングでは受け止めてもらって、アドバイスももらえました。
話していて楽だし、気持ちが前向きになる感じがしました。「やっぱりこのままじゃダメなんだな」という気持ちにどんどん変わっていきました。

私は今まで親との約束を守れていませんでした。裏切り続けていました。
そういう人生でずっときていました。

カウンセリングでは宿題がでたのですが、カウンセリングの料金も母親に払ってもらっているし、宿題をするぐらいはしないといけないなと思いました。

コンビニで働き始めた

コンビニの制服姿を母親に見せる男性

カウンセリングで最初の目標を「コンビニで働き始める」と設定しました。

近くのコンビニの求人にLINEで応募したりしていたのですが、ある日そのコンビニのレジの裏にある事務所に入っていくと、店長から「明日から一緒に頑張ろう」と言われました。
そのときは嬉しかったし、安心感がありました。

そして店長から制服を渡されて、「親に見せておいで」と言われました。
私は言われた通りに制服を持ち帰りました。
その日は母親も仕事が休みで家にいたのですが、こっそり制服に着替えて母親の前に出ていきました。

母親はスマホを見ていて私を見ていなかったのですが、フッと顔を上げて私の制服姿を見ると、「えーっ」と声をあげて、「よかった~、よかった~」と言いました。顔を真っ赤にして声を震わせて泣いていました。

再就職したわけではなく、ただバイトに採用されただけなので、「そんな泣かないで」と思っていましたが、母親はそれくらい安心したようでした。

1回目のカウンセリングから3週間経って、最初の目標だった「コンビニで働き始める」ということは実現しました。

少しの成長ですが自分に自信がでてきましたね。
「やろう」と思えば、自分はできたんだなと思いました。
驚きもあったし、できるのならもう少し前からやるべきでした。

再就職して母親を喜ばせたい

ドラッグストアで働く男性

今後はしばらくコンビニのバイトを続けるつもりです。
その間に資格を最低でも1つは取りたいです。

今のところ、販売士や登録販売者の資格取得を考えています。販売系の資格です。

また無職状態が続いたため、「働けない体」「だらける体」になっています。
それをバイトを1日8時間、週5日まで勤務時間を増やしていくことで、「働ける体」に戻したいですね。

それができたら、販売系や接客系の会社に正社員として再就職したいです。
再就職して母親を喜ばせたいです。

無職でなかなか動き出せない人にアドバイス

私と同じようになかなか動き出せない人には「第三者に話を聞いてもらうといいよ」とアドバイスしたいです。

家族ではない人に話すのが大事だと思います。
家族だから言えることもあるのですが、家族だからこそ言いにくいことがあります。家族との関係を悪くしたくないとか怒られたくないとか、いろいろあります。
それで自分の本音を隠して、自分だけで苦しむことになります。

第三者に本音を語っても怒られることはまずありませんから。

(K.Tさん 20代男性)

心理カウンセラーからコメント

心理カウンセラー

2交代制の工場勤務で心身を消耗し、退職を余儀なくされた経験は、非常に大きなストレス体験です。月35時間の残業は「周りと比べて少ない」とおっしゃっていますが、交代制勤務と組み合わさることで、体内リズムが乱れ、疲労が蓄積しやすくなります。「体がもたなくなった」というK.Tさんの感覚は、身体からの正当なSOSだったと考えます。

退職後の4か月間、家に籠もっていた時期についても、これは心理学で「バーンアウト(燃え尽き症候群)後の回復期」と捉えることができます。極度の疲労状態から回復するには、まず休息が必要です。ただ、K.Tさんが「このままじゃダメだな」という焦りを感じながらも動けなかったのは、「休みたい気持ち」と「働かなければならないという義務感」の間での心理的葛藤があったからでしょう。この葛藤自体が、さらにエネルギーを消耗させる悪循環を生んでいたと考えられます。

最初のカウンセリングで「言いたいことが素直に言えた」「安心感があった」という言葉は、カウンセリングにおける「安全な場」の重要性を物語っています。第三者だからこそ、評価や批判を恐れずに本音を語れる。この「心理的安全性」が、変化への第一歩となります。

お母様が制服姿のK.Tさんを見て涙された場面は、私も胸が熱くなりました。お母様の涙には、長い間の心配、不安、そしてついに訪れた安堵のすべてが込められていたのでしょう。K.Tさんは「再就職したわけではなく、ただバイトに採用されただけ」と謙遜されていますが、お母様にとって、そしてK.Tさん自身にとって、これは大きな一歩でした。動けなかった状態から、一歩を踏み出せた。この変化こそが、最も価値あるものです。

今後の目標として、「働ける体」に戻すこと、資格取得、そして正社員としての再就職を掲げていらっしゃいますね。段階的で現実的な目標設定です。特に「だらける体」から「働ける体」への回復という表現は、身体性を伴った変化を意識している点で重要です。勤務時間を徐々に増やしていくという計画は、無理のない範囲で自己を鍛え直していく、適切なアプローチだと思います。

K.Tさんの歩みは、まだ始まったばかりです。これからも山あり谷ありでしょう。しかし、一度動き出せたという事実、そして「自分はできる」という感覚を得たことは、これからの人生における大きな財産となるはずです。どうか焦らず、一歩ずつ、自分のペースで進んでいってください。応援しています!

この記事を書いた人

心理カウンセラー 田中耕一郎
公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。

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