
後輩までうつ病になり、怒りがこみあげてきた

1年前までの私は、自分を責め続けていました。
私は職場いじめの加害者を理解しようと必死でした。
ただこの状況が通り過ぎるのを待つしかないと信じて我慢をしてきました。
我慢しても状況は一向に改善しないということも知らずに・・・。
ところが後輩までもがうつ病になってしまい、私は怒りがこみ上げてきました。
職場いじめの加害者であるAさんは、ただ自分の支配欲のためだけにターゲットをつくり、他のスタッフまでも巻き込んで優越感に浸っている。
たったそれだけのために、私の人生を否定するなんて許せません。
以前は失敗や成功を語り合えた職場でした

以前は、私は職場でとても大切にされていました。
心が自由でした。誰も疑う人はいませんでした。
一生懸命患者さんと接し、一生懸命仕事をし、失敗や成功を語り合えた職場でした。先輩や後輩の域を超えて、充実した毎日でした。忙しかったけど、自分が看護師になれたことに感謝しました。
そして、とても有能な師長の元で働かしていただいていることに誇りを持っていました。ほんとにすごい人でした。たくさん叱られたけど、たくさん褒めていただきました。今は退職されましたが、今でも尊敬しています。
自分に貼られたレッテルは、自分で剥がします

私は、戦います。どこまでも行きます。その手段と方法を得ました。
もう、私のように、だめになっていく人を作ってはいけないと思うんです。
悪口も、失笑もうんざりです。
私に付けられた「仕事ができない馬鹿で何も言わないYさん」のレッテルは自分自身ではがします。
仕事が出来ないんではなく、出来なくさせられたといっても過言ではないと思います。ただ、普通に仕事がしたいだけなのに、それも許されないなんて悲しいことです。
田中先生、知恵と勇気を与えてくださってありがとうございました。
「職場を改善する」という目標を立て、実行していきます。
今度は良い報告が出来ればと思います。
話を聞いてくださって感謝いたします。本当に、本当にありがとうございました。
(30代女性 Y.Aさん)
心理カウンセラーからコメント

Y.Aさんの体験談から、長く続いた職場いじめの苦しみと、それに耐え続けてきた心の疲弊、そして後輩までもが同じようにうつ病に追い込まれたときの深い怒りや悲しみが伝わってきました。
職場いじめの加害者が、自分の支配欲や優越感のためだけにターゲットを作り、周囲を巻き込むという構造は、非常に典型的でありながらも深刻な問題です。心理学的に見ても、そのような行為は加害者自身の内面的な不安や劣等感を隠すための行動であることが多いのですが、だからといってその標的にされた側の苦しみが軽くなるわけではありません。
むしろ「理解しよう」と努めたY.Aさんの誠実さが、加害者に付け入る隙を与え、心身をさらに追い詰めてしまったことは、痛ましい現実です。
しかし今回の体験談には、大きな転換点があります。それは「自分を責める」姿勢から「怒りを感じ、改善に向かう」という方向へと気持ちが動いたことです。心理学的に、怒りはしばしばネガティブに捉えられますが、抑圧され続けた自己肯定感を取り戻す力になることがあります。
「許せない」という強い思いは、自分や大切な人を守ろうとする自然なエネルギーでもあるのです。後輩の存在がその気持ちをより鮮明にし、Y.Aさんに「立ち上がる力」を与えたのだと感じます。
また、以前の職場での経験を振り返られている部分もとても重要です。「一生懸命患者さんに向き合い、失敗や成功を語り合えた職場」「尊敬できる師長のもとで誇りを持って働けた日々」。
このような記憶は、今の苦しい環境の中で「本来の自分はどういう人間なのか」「本来の職場はどうあるべきなのか」を思い出させる貴重な拠り所になります。いじめによって貼り付けられたレッテルが「本当の自分」ではないことを示す確かな証拠でもあります。
「仕事ができないのではなく、できなくさせられていた」という言葉は、まさに本質を突いています。環境が人の力を奪うことは確かにありますし、その影響を自分の力不足と誤解してしまうことも少なくありません。
ですが、Y.Aさんは「レッテルは自分で剥がす」と力強く宣言されました。その姿勢は、自尊感情を取り戻し、職場を改善するための最初の一歩です。
もちろん「戦う」という姿勢は簡単な道ではありません。時に周囲から反発やさらなる抵抗を受けることもあるでしょう。しかし、そのときに大切なのは「一人で抱え込まないこと」です。信頼できる同僚、外部の相談窓口、そして専門的なカウンセリングをうまく利用しながら、自分の心を守りつつ取り組むことが大切です。
また、「戦う」と言っても必ずしも正面から対立することだけではありません。記録を残す、上層部や第三者機関に相談する、小さな改善から始めるなど、方法はいくつもあります。
最後に、今回のご報告から伝わってきたのは「人を守りたい」という強い優しさです。ご自身だけでなく、後輩や未来の同僚が同じように傷つかないようにと願う姿勢こそ、Y.Aさんの本質的な力であり、いじめによって奪われることのない価値です。どうかその思いを大切に、今後の歩みを進めていただきたいと思います。
この記事を書いた人
- 公認心理師。2007年に心理カウンセラー・心理セラピストとして独立し、熊本市に「熊本カウンセリング」を開設しました。以来17年以上にわたり、心理カウンセリングの実践に携わり、これまでに7,000件を超える相談実績を積み重ねてきました。2019年には拠点を熊本県八代郡氷川町に移し、地域に根ざした活動を展開しています。
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